2011年11月25日金曜日

観察力

ディアゴスティーニみたいなやつの「源氏物語」買いました。
とても解りやすく丁寧に解説等がなされていて楽しいです。
これは最後まで買いそろえてしまいたい勢いです。

久保ミツロウさん原作の「モテキ」は、
「現代の源氏物語」だと私は思っています。
1人の男性の目を通して様々な現代の女性の姿が、
丁寧に描かれています。
同性ならではの視点できちんと「女」が書かれているのです。
例えば村上春樹さんが描く女性は、
とても魅力的で美しいですが実際そんな女性はおらず、
男の願望や欲求が投影されており、
どこかの本で「村上春樹の書く小説は男のハーレクインだ」と書いてあって、
大きく頷いてしまいました。
しかし、だからこそ私たちは村上春樹さんの美しい物語世界に、
中毒的に埋没してしまうのだと思います。

話しはもどり「源氏物語」と「モテキ」の違いはというと、
主人公がモテるか、モテないか、というのが大きな違いだと思います。
光源氏は容姿も美しく、音楽の才能も、文才もあるという、
驚異的なモテ男なのです。
なので次々と女が現れて深く関わっては別れていきます。
「モテキ」の主人公の幸世はモテません。
なのでせっかく色んな女の子とのチャンスが巡ってきても、
深く関わり合う関係にまで陥りません。
ガードが固いし、何よりも自分の事しか考えていません。
女性に対する見方が薄っぺらいのです。
そして人の表層的な部分で判断して、
うだうだと試行錯誤し、結局は誰とも付き合わないという、
悲しいお話です。
しかしそれは実に現代的とも言えるので、
今の若者達の人との関わり方をとてもリアルで、
忠実に表している作品だと思います。

「源氏物語」の光源氏はとにかくお母さんが一番で、
母を思う愛が全ての根源です。
しかもお母さんは光源氏が幼い時に亡くなるので、
これがますます幻影を深めて行く原因にもなっています。
ここに女性に求める力強い世界が出来上がっており、
そこをベースにして女性たちと接し、求め、繋がっていくのです。
つまりそういうものがないと、
なかなか深く女性にコミットしていけないのではないか、
とも考えることが出来ます。
全ては母の愛=呪いが原因なのです。

それにしても、愛だの恋だので頭の中をいっぱいにできるのは、
とても平和で幸せなことなのではないかと思いました。
国家が破綻しようと、世界中に放射能の雨が降ろうと、
愛だの恋だのにうつつを抜かすことができる、
強い人間でありたいと思いました。

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