2011年7月7日木曜日

三つ目がとおる


「三つ目がとおる」読み終えました。
手塚治虫氏の仕事にぬかりなし!という感じでした。
やはりインディジョーンズなどは、
手塚治虫氏の仕事にかなり影響されているんじゃないかと思います。
超古代文明ネタは好きです。
現代の文明がどこまで続くかは知りませんが、
今はその瀬戸際を迎えているように思います。
ただ自分のことだけを考えている人間が多いように思うので、
なかなか難しいような気がします。

三つ目族の生き残り写楽保介は、
手塚治虫氏の精神構造なのではないかと思いました。
そこにある二重人格性にはなにやら惹かれるものがあります。
絆創膏が貼ってあると無邪気で優しい馬鹿な中学生なのですが、
絆創膏を剥がすと現代の人間を滅ぼそうとする、
悪魔の化身のような子どもになります。
そこにある二つの世界観は誰にでもあるものなのではないかと思います。
何も考えず、本来もつ力を発揮しなければ、
楽しく無邪気に平和に暮らせると思うのですが、
何かを考えたり、深く物事を観ようとすることによって、
世の中の汚い部分や、嫌な部分が見えたりするものです。
その汚い部分、嫌な部分を壊そうとするのが、
写楽保介の三つ目バージョンです。
「三つ目がとおる」は人間がカタルシスを得るように出来ています。
自分の代わりに世界をむちゃくちゃにしてくれるのです。
手塚治虫氏もどこかでそういう願望があったんじゃないかと思うのです。
色々なことが見通せた代わりに、
心底人間が嫌になる気持ちがあったと思います。
その気持ちを漫画に納めるために、写楽保介が産まれたのではないかと。
しかしその反面、きちんと人間の美しい面も描いてます。
手塚治虫氏はその辺りのバランスが絶妙なのだと思います。

温厚でニコニコしている人ほど、
何を考えてるか解りません。
それは私自身にも言えることです。

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