2011年6月17日金曜日

あんときの七尾



お兄ちゃんが30歳になりました。
このバースデーケーキがめちゃくちゃおいしかったので、
次の私の誕生日もこのケーキでお願いしました。
とりあえず誕生日はホールのケーキを買ってきて、
ローソクさして、みんなでつつく感じです。
照れくさいけどこれは続けています。

近頃の七尾旅人氏が作る曲は、たくさんの人が聴きやすい曲が多く、
それに伴い人間関係も充実してきているので、
人として成長したんだなと安心もするのですが、
昔のように、たった一人で闘っているような、
ギリギリに追いつめられた切羽詰まった感じも嫌いではないです。
あれはあれで魅力があったのです。
私が大学生のとき、友人から七尾旅人のことを教えてもらい、
ホームページを覗いてみるとかなり危うい空気が漂っていたのを覚えています。
ブログも読んでみると、めくるめく世界が繰り広げられていて、
「この人なかなか世の中に受け入れられないだろうなぁ」
という印象がありました。
CDを聴いても難しくてよくわからないし、
でも、すごく独創的なことをやっている、
希有な音楽人である事はひしひしと伝わってきました。
数年経って、七尾氏はやけのはらとの共作「ローリンローリン」や、
「検索少年」など今までにないポップな路線を打ち出してきました。
それが見事に大衆のハートを捉えて、
歌い手として多くの聴衆を魅了するようになりました。
七尾氏はようやく人々に発見されたのです。

私は時々、あの独特の鬱屈とした世界を思い出します。
もうあのような文章に出会う事はないでしょう。
そんな風にして人は刻一刻と変化しています。
その時その時の美しさを見せて、
私たちは生き、そして老い、いずれ死ぬのです。

しかしこれだけは言えそうです。
あの鬱屈した時代を通り過ぎたからこそ、
彼は今、独特の輝きを持って日本の音楽界に居るのだろうと。
芸人で言うと有吉のようなところでしょうか。
苦い汁も味わっていて、
そこから這い上がってきた人間にしか持ちえない強さが確かにあります。
私は人間のそういう強さであり美しさに感動を覚えます。

ハンデは武器になる。
そのことを忘れないようにしたいと思います。

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