2010年11月10日水曜日

荒野に立つ

何度でも何度でも荒野に降り立つ。
砂漠の真ん中で体ごと吹き飛ばされそうな強い風を全身で受け止めて、
裸足で、両足で立つ。
そして一歩ずつ、確実に、歩をすすめる。

たったひとり、自分だけの世界。
友達にも、家族にも、恋人にも、
絶対に来る事が出来ない、そんな世界。

私は人間として生きている限り、
その世界の住人として生きなくてはいけない。
一体どこでそんな約束をしてきたのかは解らない。
ただ理不尽で完璧なまでにそのことが決められている。

ザーザーとひどい砂嵐の隙間に聞こえる遠い声。
ふとした瞬間、一瞬だけ見える懐かしくて新しい風景。

遠い声と、一瞬の風景を見るために荒野に降り立つ。
なぜなら荒野にしかないのだ。
私の人生を前進させる為に必要な決定的なアイテムは。

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