2011年5月14日土曜日

ヒップホップの詩人たち

正直なところ、私は産まれも育ちも秘宝館と共にあったと思っている。
とはいえ、実は一度も足を踏み入れた事はない。
なんだか得体の知れない施設が、
お母さんと毎日行くジャスコの隣にいつもあったというだけだ。
つまりあの得体の知れない不気味な気配を常に吸収しながら育ったと言える。
時は経ち、秘宝館は2年前ぐらいになくなってしまった。
結局一度も行った事がないまま、秘宝館の伝説だけを耳にして、
そして未だに捕われている。
きっと生涯にわたって、秘宝館は度々私の思考に顔をのぞかせるだろう。
この秘宝館パワーとは一体なんなんだろうか。

現代日本においてそういった疑問に真っ向から立ち向かっている方が、
都築響一氏だろう。
村上春樹氏と繋がりがあるようだけど、
多いにそういった精神性の繋がり感じるものがある。
日本の文化の根源、捨てられていく世界、
しかし確実にじわりとあちらこちらで息づいている世界。
そういったものを研ぎすまされた感覚と愛の力でキャッチし、
表現として見事に昇華されている。
そんな都築氏が最近着目されているのが、
「夜露死苦現代詩2.0 ヒップホップの詩人たち」
http://www.shinchosha.co.jp/shincho/4649/
ここにある言葉がすごくいい。

いちばん意欲的な現代美術の展覧会は、
東京ではなく地方の美術館で開かれている。
いちばん新しいファッションは、田舎の不良が生み出している。
いちばん刺激的な音楽もまた、東京ではなく地方からやってくる。


とある。
THE BLUE HERBを取り上げているんだけど、
彼らのライブは2回ほどみている。
1回目は下北沢のライブハウスで大学生の時に。
大麻の煙でもうもうと立ちこめ、近くにいる人々は完全にキマっていて、
当時は私はそんな状況もイマイチ理解できていない、
ひよこのような子供だったけれど、
ラップに乗せられて紡ぎだされる言葉には切実に訴えかけてくるものがあった。
「未来は俺らの手の中」
この曲の凄さを当時付き合っていた彼氏に熱く語られたりした記憶がある。
2回目は3年前に行ったタイコクラブ。
本当によかった。どうよかったのかいまいち覚えていないのだけど、
友達が酔いつぶれて気がついたら地面で寝てたぐらいだから
よっぽど良かったのだろう。
そしてまた都築氏を通じてTHE BULE HERBと出会った。

ラップと言ったら、スチャダラパーかいとうせいこうか、ぐらいで、
それもそんなにがっつり聞き込むというほどでもない。
「ああ、おもしろい人たちがいるなー」ぐらいだ。
それから映画の「サイタマノラッパー」がすごくいい映画だった。

結局「うまいこと言ってんな〜」というものが好きなのだろう。
それは落語が好きなことと同じだ。
そもそも「韻を踏む」とか結構好きである。

路上。

私も永遠に路上に生きるし、路上を見つめ続けるんだろう。
そういうところがシンクロして、
時々THE BLUE HERBは私の人生に現れる。
忘れんなよ、って言ってるみたいに。

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