2011年2月17日木曜日

妖怪になりたい

水木しげるの「妖怪になりたい」全部読みました。
鞄の中にいつも忍ばせていた暇つぶし本。
母親の病院の待ち時間に完読。
次の暇つぶし本みつけなきゃなー。

やはり水木しげるは最高です。
文章がとても読みやすい。
全然気取ってないし、人柄が全面に押し出ている。
やっぱりある程度文章で人間がわかっちゃうなぁ、と
言葉を扱うことの危うさのようなものも感じつつ。

「くそつまんねーな、まじ」
「あいつも、こいつも、全員終わってるわ」
みたいな、気持ちがいつもあり、
そっからじわりじわりと滲みでる感情がある。
恨みみたいな、怨念みたいな。

何かと不都合なことがおきると、
「死ねばいいのに」
を連発する40代がいて、
子どものようにそうやって言葉で発散しているのだな、
と思えばそれで済むのだけど、
やっぱりいつも聞いてると嫌になる。

独身の30歳前後の女3人が集まると当然のように結婚の話になる。
結婚のことなんて全く眼中にない子もいれば、
めちゃくちゃ気にしている子もいる。
(ちなみに私は前者)
「結婚して子どもを産んだらただの女にになる。」
という意識がどこかにある。
ただの女とは一体どんなものか、
私も漠然とおもっていることなのではっきりとは言えないけれど、
とにかく、男がいる女は、ほんとにただの女だ。
子どもがいたらますますひたすら女だ。
いちおう私も女の端くれなので、ただの女になりたい自分もいるし、
時々無償に女になりたいときがある。
しかし、ここのところそういう自分の気配が全く消えた。
すっきりしていて、すがすがしいほどだ。
「人生のひとつのポイントを通過したな」という感慨。

結婚したいのであれば、結婚したらいい。
できるものなら。
自分だけが結婚したいと考えていても不可能なのであって、
相手いて、しかもその相手も自分と結婚したいと考えていないといけない。
そんな状況に陥ることが簡単なタイプの人間もいれば、
そんな状況に全くならないタイプの人間もいる。

結婚なんて神様の采配だ。
自分の欲望なんてほんとは二の次なのだ。
欲望や計算で結婚する人間は、
きちんと欲望や計算でものごとを考える人間と一緒になる。
謎の引力で互いを引き合うのだ。
そんなふうにできている。

他人なんてなんだっていいのだ。
誰を好きになろうが、好きになられようが関係ない。
もうそんな世界をうろちょろして迷う生活は飽きた。
もっと、深く、深く、命の芯に迫りたい。

妖怪になりたい。
やっぱりその空気のほうが今の気持ちに近い。

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