僕らに流れる運命をとめることはできないんだよ。
この世界は激流。
どこまでも流れていく。
その先はあるの?
あるかもしれないし、ないかもしれない。
でも、みんなでいくんだよ。
今生きてる人も、死んでしまった人も。
草も、木も、花も、犬も、猫も、雲も、水も、全部。
行き着く先は、ぽっかりと空いた穴かもしれないな。
地球で暮らす人々は、危機に直面してやっと気がつくんだ。
本当の平穏がやってくるまで動き続ける。それが使命。
本当の平穏なんてやってくるの?
やってくるかもしれないし、やってこないかもしれない。
目の前の地獄から目を逸らして逃げているだけかもしれない。
逃げて、逃げて、逃げた先に、本当の世界があるかもしれないし、
そんなものはどこにもないかもしれない。
ただ、逃げている最中は夢中だということ。
人々は夢中になりたいだけなんだ。
世の中の煩わしいこと、つまらないこと、全てから逃げたいんだ。
それは、生がどんなに退屈かということだ。
生は膨大な時間を消費する。
覚醒しなければ、生なんてものは苦痛でしかないね。
だって余計な事を考えるからね。
年金のことや、人間関係のこと。
その多くが背負わなくてもいい余計なものばかりさ。
でも人間は自ら進んで好んで背負うんだよ。
なぜって退屈だからさ。
いつだって人間は退屈に押しつぶされそうな生き物なんだ。
だから地震を起こして混乱を起こしてやったというわけさ。
絶望やら、希望やら、人間は好き勝手に食い散らかして、
みたいものをみるからね。
みたいものをみるからね。
とにかく汚いやつらなんだよ。
それでいて急に自分達を正当化して正義の皮をかぶっていやがる。
昨日まで「セックスしたい」か「腹へった」ぐらいしか考えてないやつらがさ。
みんなヒーローになりたいんだよ。
ここぞとばかりにもっともらしいことを言って、みんなから尊敬されたい。
自己を満たしたい。
他人から必要だって言われたい。
人間が命をつないでいる理由なんてそんなものさ。
地震は断層がちょっと動いた事で地面が揺れる事だ。
そんなことでわーわーきゃーきゃーうろたえる。
人が何万人と津波に吞み込まれて死んだ。
「ご冥福をお祈りします」
ご冥福?なんだそりゃ?
死んだんだよ。とにかく。
子どもが笑いながら蟻の巣に水を流し込んで殺すのと何が違う。
とにかく、人という奴はいざ自分達の事になると大騒ぎする。
感情があって、感覚があって、思考がある。
ただそれだけだ。
感情があって、感覚があって、思考がある人間は、
感情と、感覚と、思考に訴えてくる。暴力的なまでにね。
渦になって襲いかかってる。それは津波と同じなんだ。
根こそぎ持っていこうとする。
波に呑まれて流れていない奴がまるで悪みたいにしてね。
つまり、今ここで書いているこんな女の精神は袋だたきにあう。
人間に同調せずに、全く孤立しているから。
はぁ。まったく理不尽な世界だ。
色んな世界があるってことをもっと知ったほうがいい。
いや人間は色んな世界なんて知りたくないんだ。
ただ自分が知りたいことだけを知りたいだけだ。
大きな波に流されることは楽なのは解るけど、
出られるものなら、一度波からあがってみたほうがいい。
また新しい方向からの世界が観られる。
観られるからってどうなるわけではないけれど、
この世界は、国は、結局今回の地震を武器にさらに強くなるのは確かだ。
意地とか、プライドだけはやたら強い生き物だからね。
そして武勇伝として語られていくのさ。
ちょっと乱暴だけど、そんな風にして、ひとつの物語を与えたというわけ。
人間は感動とか、涙とか、逆境とか、試練の話しが大好物だろう?
全ては退屈から解放してやるためのおもちゃなんだ。
これで人間達はしばらく遊んでいるだろう。
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